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ケヴィン山内の英語まめ知識

祭(まつり)について

 皆さんは学校で歴史の時間に、聖徳太子が政(まつりごと)を行ったと先生が言った時、まつり(祭)とよく似ているけど意味が違うなァーと思った経験がありませんか? はいそうです。祭りは「奉る」から名詞になったことばで神様を奉る(まつる、たてまつる)ことからで、江戸中期の国学者 本居宣長も祭と政は同じであると言っています。

 たてまつるは英語で dedicate 、頭の「dedi」と日本語の「たて」も語源が一緒であると歴史言語学者の川崎慎治氏も著書に書いています。それは別の号にも書きましたが日本語の「テテ、トト、チチ」と英語の「 dad(父)」とは全く同じ人類の発音癖を証明しています。英語で政治は politics と言いギリシャ語起源です。polit は「市民」という意味ですが、 poli を接頭語とする祭りということばは無いことから西洋では政治とお祭りとは関係ないようです。

 さて祭りですが英語で festival、fair、carnival などと言います。日本でも最近フィエスタとかフェスタと言っていますね。カーニバルは謝肉祭と訳されていますが語構成は carne(肉)+ val (取り去る)、つまり肉よさようならという意味で、宗教上の理由で翌日から断食に入るからなのです。これがアメリカのルイジアナ州で行われている祭 フランス語起源の mardigras(マルディグラ)とつながり、それは(太った火曜日)という意味で、その日までは思いっきり食べます。カーニバルはよく cannibal 「人肉を食う」と混同されますが cannib はコロンブスが西インド諸島を発見した時、現地のカリブ族が人肉を食うという習慣があったので誤用が生まれたのだそうです。 cannib は carib の音韻変化です。

 先述の3つの単語は夫々異なる語源から生まれてはいますが、今では宗教上の本来の意味から離れて使われています。 county fair (アメリカの畜産品評会)や Mayfair とかリオのカーニバルのように使われています。 Mayfair はヨーロッパの寒い冬が終わり春の訪れを待ち望んだ人達が夏の収穫の多からん事と人々の多産を祈るための祭りで Maypole を立てその回りを一晩中でも踊りまくるものです。同じような祭りはキリスト教以前、ローマやゲルマン人や先住民のケルト人の風習が混ざり合って現在に至っていますが、通常春分と夏至の間に行われ、これが May Day へと発展しました。

 本題から離れ過ぎますが Maypole は古代からの男根崇拝に他ならぬものでこれが盆踊りに影響を与えているようです。日本の祭りも草原の真ん中にどこからでもよく見えるようにポールやヤグラを建ててその上に鳥の模型を飾ったことから漢字の「集」という字が生まれました。本文の最初に戻って、まず神様にご挨拶をすることで始まったお祭りは輿の上にまで神社を持ってきたのです。因みに御神輿(おみこし)は英語で portable shrine (持ち運びできる神社)と言います。節句は seasonal festival でひな祭りは doll’s(girl’s)festivalと言います。男の子の場合は boy’s festival ですが、今は5月5日の children’s day になってしまいました。蛇足ですがお神輿を担ぐ時の掛け声は諸説あり、「和上同慶」が「わっしょい」になり、我が背負うから「わっせ」になったのでないかと言われています。

 最後に「お祭気分で」は何と言うのでしょうか? 答は in a party(holiday)mood と言います。「後の祭り」は It’s too late なんですよ。今回はヨーロッパの祭りの起源の個所をもっと詳しく説明したかったのですが限られた字数では無理でした。もう一言、 Mayfair の間若者が森でSEXしたりして人間の本能のおもむくままにした行動が、清教徒( puritan ピューリタン)に「ワイセツすぎる」と反発に会い消えてしまった習慣は男性の一人として残念でなりません。そのピューリタンが宗教上の理由でイギリスを捨てメイフラワー号で着いた場所が前号で触れたアメリカのマサチューセッツ州の Cape Cod コッド岬なんです。念のため。

本紙2012年3月27日付(2215号)掲載





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