ケヴィン山内の英語まめ知識
数(かず)の話 4
6 six 数字の話も今回が最後です。6から10までの話をしましょう。6にはとりたてて面白い話がありません。そうしたら何と 6 pence に「つまらないもの」という意味があることが分かりました。そしてat sixes and sevens には out of order の意味があり、それはつまり「ごちゃごちゃの」とか「こわれている、体を成していない」ということでやはり良い意味はありませんでした。
the 6 sense には「第六感とか直感」の意味があり少しは6の評判を取り戻せました。そういえば作家サマセット・モームには「月と6ペンス」という有名な小説がありましたが、この6ペンスはどういう意味だったのでしょうか。
7 seven 7にはもともと「幸運、叡智、安息の象徴」という意味があり、わざわざラッキー7と言わなくても良いのです。ではなぜわざわざ lucky 7 と重ねて言うのかは野球の7回 seventh inning から来ていると言われます。これは英語圏を中心とする西洋の観念ですが、野球で7回に打ったボールが強風でホームランになったことが由来だそうです。9イニング制で行われる野球では7回をラッキーセブンと呼び(正式には Lucky 7th)色々なセレモニーが日本でもアメリカでも行われています。メジャーリーグでは 7th inning stretch と呼ぶちょっとした休憩があり観客は手足をストレッチして Take me out to the ballgame (僕を野球に連れてって)という歌をうたいます。日本では風船を飛ばしたりしていますね。
さて7の接頭語は hepta とか septi と言います。ですから September は9月でなく本当は7月のことなのです。ではなぜ7月が9月になってしまったかは以前の号の「カレンダーの謎」で詳しく説明しているので読んで下さい。
8 eight 8は復活、再生を現わす数とされています。接頭語は octa、octo です。ですから October は10月でなく本当は8月のことなのです。蛸も足が8本だからoctopuss といいます。先述の7月から10月まではある歴史的理由によって接頭語が表す本当の数字より今では2か月後ろへずれています。漢字の八は末広がりと言って良い意味を持っています。発も八と発音が似ているので香港では「発財ファッチョイ」と言い旧正月にはおめでとうの代わりに会う人ごとにお互いに言い合います。
9 nine 9は完成、純潔、豊穣を意味します。接頭語は nono、nona で November は11月でなく本当は9月のことです。西洋で特筆すべきエピソードはありませんが、東洋では香港にある九龍半島とか日本の源義経は九郎判官(くろうほうがん)と呼ばれていたように九は「神(龍)、最高」や「人を超越した偉いもの」の意味があります。
10 ten 10は完全性とか宇宙全体を意味します。米俗語で She is a ten と言ったら彼女は最高の女性、という意味だそうです。接頭語は deca(10倍)、deci(10分の1)です。皆さん良くご存知のボッカチオのデカメロンは10日物語と訳されています。さて最後にモーゼの10戒はなんと言うのでしょうか。10 Commandments と書きます。「モーゼの」とわざわざ書かなくてもCを大文字にすれば良いのですよ。念のため。
昨年もご愛読ありがとうございました。今年はもっと良い年でありますように。
本紙2012年1月1日付(2206号)掲載
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- 数(かず)の話 4 2012.08.21 火曜日