ケヴィン山内の英語まめ知識
当世流行語「 on demand 」
以前にもテレビやラジオであまりにもうるさく言うので書いたのがon air だったが最近しきりにテレビで宣伝しているのが on demand です。demand は英語で、発音は「ディマンd」英語では Denver,deliver,tent のようにeをエと読むことがありますが、一方 desire,degree,design などeはイと発音することが多いです。日本人はローマ字読みでeをエと発音してしまうので「デマンド」と発音してしまいますがデマンドは正確ではありません。意味は要求とか要求するで名詞も動詞もあります。
IT用語辞典では「ユーザーから要求があった時サービスを提供する方式」とありインターネット上のデータ配信の殆んどが on demand で行なわれています。これに対し例えばテレビ放送はいつどういう番組を流すかは視聴者の要求とか意向とは関係なく決められるのでon demand とは言いません。90年代の中頃ケーブルテレビ網や光ファイバー網にコンピューターシステムを組み合わせて個々のユーザーの要求に合せて見たい時に見たい映画を放送する Video on demand(VOD)が注目され on demandという言葉も広まりました。
さて英語の勉強に戻りますが、on には沢山の意味があり全ての説明はできませんが、 on demand の on は「さしつまって、~のあり次第」であり我々の想像する以上に強い意味を持っています。因みに demand もrequest とか claim (両方とも要求するの意味)よりさらに強い意味を持ち、法律用語では「尋問する、追求する」があるほどです。よく使われる on の用法として This is on meこれは僕のおごりです。よくアメリカの西部劇映画の酒場の場面で This is on the house とバーテンが叫んでいることがありますが、これは店の(つまり経営者の)おごりだ、という意味になります。on January 1月に、 on foot 徒歩で、 I have no money on me はお金の持ち合わせがない、という意味です。Turn the light on 電灯をつけて下さい、on that matter その事について、と意味は多岐にわたります。蛇足ですが upon(up+on)は onと同じように使われる事がありますが upon はより文語的で on は口語的と理解して下さればよいと思います。
インターネットの普及・発展に伴い旧来のテレビなどのお仕着せのメディアに対する優位性としてインターネット上のサービスとしてon demand がもてはやされてきました。またコンピューターや周辺機器の充実に伴い読者の要求毎に書類を印刷する on demand 出版という新しい言葉が生まれインターネットとは直接関係がない分野にまで on demand の持つ絶対と速さというサービスが浸透してきています。
本紙2011年8月27日付(2194号)掲載
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