現在位置: HOME > コラム > 村上泰賢氏の「わが国産業革命のはじまり」 > 記事



村上泰賢氏の「わが国産業革命のはじまり」-日本初の株式会社―

 日本初の株式会社・前貸し支配の外国商法を排除

 商社組合に資本を集めて外国商社に対抗すれば、外国商人の〃前貸し支配〃によって操られていた日本人商人の投げ売り競争を抑制し、外国商人(商社)に独占されている貿易利益を取り返すこともできる。

 〃前貸し支配〃とは、外国商人が最初は日本産品を高く買い取り、喜んだ日本商人にもっと持ってくるよう言いながら、買い付けてくるともう品が余っているからと買い渋り、安く買い叩く。結局日本人どうしの安売り競争で資金不足に陥った商人には資金を前貸しし、しだいに個々の商人を外国商社の意のままに操るようになって、ついには一国の経済まで支配してゆくやり方。植民地支配に慣れたイギリスなど欧米の商人にとっては、当り前の商法であった。日本もコムペニーの商法を取らなければ、「ついに全国の利権を失し、外国商人のために蔑視され…」外国商人に儲けさせるために開港しバカにされているのは残念と、小栗はいう。

 こうした外国資本による簒奪を回避するための兵庫商社であり、さらに商社・コンパニーの利潤をもっていずれガス灯や書信館(ポストオフィシー・郵便)電信、鉄道(江戸―横浜間)の設置をすれば、国民にとっての莫大な利益になると提議する画期的な構想で、役員や定款も備えた本格的なものであった。

 商社は大阪中之島に事務所を置いて活動を始めた。残念なことに半年ほどの活動ののち幕府解散につられて商社も解散し、写真などは見つかっていない。

 明治以後の歴史家は幕府が貿易利潤の独占を図ったと批判するが、この当時兵庫商社以外の方法を提案し実現させる苦心をした人物がほかにいるだろうか。坂本龍馬も株式会社設立が最終目標であったろうが、亀山社中はまだ使い走りをしただけ、定款役員など株式会社の要件を満たしていない。

本紙2374号(2016年8月27日付)掲載





バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する