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ケヴィン山内の英語まめ知識

タルタルステーキと赤ちゃんの関係 (1)

 タルタルとはタタール人(Tatar)のことで、もともとは9世紀に成立したキエフ公国(後のロシア人)が戦闘能力に優れたモンゴル系遊牧民を呼び始めた呼称です。この遊牧民は韃靼人(ダッタン)とも呼ばれていて、ロシア人小説家ゴーゴリの「隊長ブーリバ」にも出てくるし、音楽でも「ダッタン人の踊り」などでも有名です。

 さてこのモンゴル部族を統一したジンギスカンの孫バトウはキエフ公国を占領、支配し東欧のポーランドまで攻め入ったと言われ、西ヨーロッパまでも侵攻をうかがわせた。モンゴル軍は戦闘の際、女,子供まで虐殺するほど残虐で、彼等が通った後は草木の一本も生えないと恐れられていたので、ローマ人はギリシャ神話で地獄を意味するTartarus を連想しTatar と混ざってTartar と呼ばれるようになった。

 蒙古軍は遠征の際、軍馬も食べた。硬い馬肉は食用に適してなかったが細かく切って袋に入れ鞍の下に置き潰した肉を生で食べ、塩、胡椒、玉ねぎで作った汁をかけたそうです。このソースは今でいうタルタルソースではありません。タルタルステーキもソースも後にヨーロッパ人が付けた名前で、肉を生で食べるなんて、原始的、野蛮な、という蔑みのニュアンスを含んでいます。

 モンゴル族は馬、牛、羊も生食したがその生肉のミンチを焼くことで食べやすくしたものがハンバーグステーキでその発祥地がドイツのハンブルグで、一方生食の習慣はユーラシア大陸を東へ流れ韓国料理のユッケになったことは皆さんご存知のことですね。


本紙2008年8月27日付(2086号)掲載





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