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「距離が教えてくれるもの」

 遠距離恋愛された経験はありますか? 転勤や単身赴任で、大切な人と遠く離れて恋愛された方の割合って多いと思います。銀座にいる彼女の元へ通うお客様も、東京に居なければ遠距離恋愛になりますね。もしくは金銭的に頻繁に行けない、忙しくて都合がつかないなんてお客様も係りのホステスさんとは物理的な距離ができます。ある意味それも遠距離恋愛って呼んでいいのかもしれません。

今はコロナの影響で、夜の世界に生きる私たちとお客様との間には大きな距離ができました。私たちホステス、ママでさえも「お顔拝見したいです=来てください」とは言えないし、お客様も「食事しよう」「店行くよ」とは言い辛い。表情が見えない状態で会話すると、ちょっとしたニュアンスが伝わらない事もしばしば。メールの場合は言葉尻ひとつ取っても勘違いが起こる事だってあるし、電話の場合はタイミングが図り辛い。最近はテレワークでご家庭にいらっしゃる殿方が多く、こまめに連絡を取り合うのはリスキー。相手のパーソナルスペースを十分に考慮するのが如何に難しいか、私たちは思い知らされています。そしてそういった精神的な距離は、できてしまうと埋めるのが困難なもの。人間という生き物は、今実際に身近にある物事へ心が移ろうからです。銀座に通っていたお客様の中には、生活の変化によって、家族と過ごす時間が増えた方もいらっしゃるでしょう。そして家族の団欒が増せば増すほど、哀しいかな夜の世界を忘れて「あぁ自分の気持ちってこんなもんだったのか」って気づいてしまった殿方も多いはず……。夜の蝶たちはあなたとの距離を恐れています。

しかし私達キャスト側も同様に、今は優先順位をつけるべき時であり、自分は何処に居るべきでそこで何をすべきか改めて考える必要性に迫られています。まるで沈没していく船の上で自分は何から捨てるのかを選択しているようです。逢いたい人に今逢いたい……みんなその気持ちで溢れていますが、自分が死んだら何にもならない。ゼロどころか、周囲(例えば家族や友人や同僚まで)に迷惑をかけると考えるとマイナスです。この歴史的なコロナ危機、運が良ければ短期で終止符が打たれるかもしれません。本当に大切なものならば、距離なんて関係ないはずです。工夫してその距離を縮めようと努めるからです。さて、あなたは本当に大切な人にお気づきになられましたか?





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