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父親の如く

 出逢いは、お客様との繋がりは、財産です。勿論それは金銭面だけの話ではありません。銀座へいらっしゃるお客様は、ビジネスの上で『成功者』と呼ばれる方々が多いです。そういった普段お会いできないような方々とお話しが出来る、考え方を聞けるというのは、自分の精神面での大きな財産に成り得ます。色んなお客様がいらっしゃいましたね。人種のようにひと目で判る単純なものではないのです。昼間のお顔と夜のお顔は違います。こうも自己が剥き出しになる場所というのは、夜の世界独特ではないでしょうか。それはお酒を飲んでいるからだけでないんです。お仕事の延長での接待という空間にもなり、また職場を離れたオフの空間となる場合もあり得ますから。そこでの言動って人間性が出ます。

 
 前回、大阪から出てくる時、父親の如く叱って下さったお客様の話を出しましたが、その方は建設業界の社長様でした。強面でせっかち。ビクビクしながらお席に着いた日を覚えています。でも何故か可愛がって下さいました。夜の蝶をしているバリバリのお姉さんより、イモ娘の方が育て甲斐があったのかもしれません。ようやく気心が知れた頃に銀座へ行く事になり、ずいぶん心配して下さいました。

 ……ビックリしましたねぇ。だって引っ越し蕎麦を一緒に食べた日でさえ、まだ怒ったように反対なさっていたのに、実際に私が銀座へ出てくると、同伴(夕食を一緒に食べお店へ入る)をする為に大阪から通って下さるようになったんですから。東京ではオーナーママしか知り合いの居なかった私にとって、本物の父親以上に親身になって下さったと感謝しています。

 その社長様との出逢いは、言うなれば私にとってビギナーズラックと呼べるのかもしれません。東京まで会いに来て下さった時の感動と光景は、今でも心にありありと浮かんできます。日々の出逢いを大事にしなければと、その時以来強く考えるようになりました。優しくされたら、自分もそうでありたいと思うのが人間というものです。『昔は新地(しんち)、今はお家(おうち)』というのがその方の口癖で、今や会長様になられ、ホステスよりもお孫さんの小守りに精一杯みたいです。周りの人の事をとても大事にされる方でした。社員さんに慕われ、ご友人も多く、取引先とも友達のように接していらっしゃいました。器のある生き方が出来るって、素敵ですね。

本紙2018年6月27日付(2438号)掲載





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