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小池安雲の色の魅力

第74章

 スーパーへ行くと、野菜の高騰にため息が出ます。それと同時に、普段は当たり前のように食べている野菜が、自然と人の手によって育てられてきたものだということを改めて感じますね。私はどうも園芸が苦手らしく、鉢植えのハーブすらまともに育てられないので、生産者のみなさんには頭が下がる思いです。

 さて、昨年参加したとある心理関連のセミナーで、講師の方が「現代はスピードを求めている」というお話しをされました。「早く結果が出る」「すぐに可能になる」ものをみんなが求めているのだとか。ビジネス書や自己啓発本も「〇〇すれば夢が叶う!」のようなタイトルの、シンプルかつスピーディーなテーマが多いように感じます。

 一方で、地道さや、日の当たらない場所での努力、実現までに時間がかかるテーマのものを見かけなくなってきました。より早い成功を求める時代には、あまりニーズがないのかもしれません。

 知識を得ることと、知識を理解することは、一見似ているようでいて異なります。前者の色はイエローで、後者はグリーンです。知識を得るのは、植物が太陽の光を浴びるようなもの。しかし、太陽の光を浴び続けるだけでは、やがて植物は干からびてしまいます。植物には水が必要です。太陽の光(イエロー)と水(ブルー)が合わさることで土壌が潤い、植物(グリーン)が茂ります。知識のイエローが理解のグリーンを茂らせるためには、水のブルーが必要なのです。

 ブルーはどんな色かというと、感情や感覚、感性を表します。チョコレートを食べることに例えると、原料や配合やレシピを知るのがイエローの知識。一方、チョコレートを食して咀嚼し、香りや舌ざわり、味わいを感じるのがブルーの感性です。知識というデータを感覚に落とし込むことで、はじめてグリーンの「納得」が生まれます。

 学んで、感じて、納得する。1ステップではなく3ステップがあるからこそ、時間がかかるし根気も必要になります。しかし、地道なその繰り返しこそが、豊かな土壌と繁栄につながるのです。知識で干からびそうになったら、感じることを忘れずに!

 ここで、いつものワンポイントアドバイス。木が成長するにつれ、地面のなかでは根が発達します。成長すればするほど根が張って、つい頑固になりがち。根っこがカチカチになってきたなと思ったら、地面を掘り起こして新鮮で柔らかな土を入れましょう。くれぐれも、根詰まりにはご注意あれ!

2018年2月17日付・第2427号紙面より


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