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社説 波紋

ポケモン現象であらわれた 「ポケモンゴンビ」?

 いったい、どのくらいの人々が夢中になっているのであろうか。ポケモンGOを楽しむ人の数は配信から3日日間で一千万人を超えたと言われ、未だに増加の一途を辿っているようだ。

 スマホやタブレットに専用アプリをダウンロードし、その所有者はプレイヤーとなって今居る現在地がリアルに画面へと映され、その場で遭遇した架空の生き物のポケモンの様々なキャラクターを手に入れる(獲得)ゲーム―が大まかな説明になるのでは。一定の規則はなく、何処に、どんなポケモンが居るのかは不明であり、プレイヤーは新たなポケモンを獲得するには偶然の遭遇や、SNSなどでの情報を頼りに次から次へと移動しなければならない。その昼夜を問わずにポケモンの出現を求め、沢山のプレイヤーがスマホやタブレットの画面を食い入るように見ながらの移動が、異様な雰囲気を醸し出して社会現象の一つになっている特に夜の姿は、スマホやタブレットの画面から漏れる光があちらこちらに見られ、また、一つの場所へと集まり出して、時期は過ぎているものの蛍の輝きに重なれば風情もあるのだが、とてもそのようには感じられない。夜な夜なにゾロゾロと限りなくプレイヤーが湧いてくる場面に見えて、それは映画のゾンビが何かに引き寄せられて移動しているものと捉えることもでき、その表現にプレイヤーを “ポケモンゴンビ” と揶揄する言葉も聞かれる。

 所詮はゲーム。一時のブームかもしれない。個人の趣味であるから、他人が口を挟むことではないのかもしれない。ただ、神聖な場所や公共施設などでは出現スポットの登録削除、歩きスマホ・運転スマホ等による事故発生や危険性の誘発へと繋がる問題が出てきているのも事実である。

 その一方で、思春期の子供との共通話題となり会話をするようになった。一緒にポケモン探しに出掛けることも。また、ある親子はスマホの画面を見る(使用)時は、他人の邪魔にならないように道を空けて立ち止まる等のルール教育、躾のツールとしてもゲームを楽しんでいる―と。賛否両論あるが、使い方次第では思わぬ効果も表れている。

 よく、企業の人材活用や育成に、その人の持つ長所を伸ばす取り組みをといわれるが、そう簡単にいかないのが現実である。適材適所も適確に当て嵌められているかと言えば疑問である。良い部分は一つとは限らない。新たな長所を見出すことも人材教育なのかもしれない。

[2016年8月17日付け本紙2373号掲載分]


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