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 私が銀座の七丁目のクラブに居た時に、IT企業の会長さんと出会いました。

とても上品で、いかにもという雰囲気の方でしたね。最初にお席に着いた時、お独りで二十時過ぎに入って来られ、たったの二十分で帰られてしまいました。終始ニコニコと話をされていたのに、あれ? と思いました。店の下でタクシーを拾って、これまたにっこりと微笑んで帰られるのです。お客様の心の内は楽しくなかったのかもしれない、もしかしたら失礼な事をしたんじゃないだろうか、と不安でした。お見送りの終った後、直ぐに黒服に呼ばれ「さっきのお客様からチップ付いてるからね」の一言に仰天。「どうしてですか?」と聞き返してしまったくらいです。どうやらそのお客様は、銀座に出た時はいつもそんな風にそのクラブに寄り、女の子にチップを付けさっさと帰られるようです。

 そのお客様と同伴をした時なんかは、いつも以上のチップを付けて下さいます。その方の行きつけの高級すし屋、歴史のある天ぷら屋、ゴージャスな内装の鉄板焼き屋。そんな立派なお店でご馳走して頂いてその上にチップです。月に換算したら何十万もの金額になります。一体何なんだろう……って思いませんか? ママや他のホステス仲間は狹然瓩箸いΥ兇犬如△匹Δ笋藏辰い討い襪里六笋世韻里茲Δ任后

 勿論、そうするには理由があります。その方は、大事なお客様を連れて来られます。その時にきちんと接待をして欲しいから、お店のスタッフたちを大事にするのだそうです。『将を射らんと欲すれば、まず馬を射よ』という考え方です。私はその方の言動をメモに取り始めました。すると「ここでホステスをするならば稼げるようになりなさい」と銀座で生き抜くノウハウを教えて下さいました。食事をご一緒した時は、そこで使われている器や焼き物の名前を覚えさせ、旬の食材を舌で確かめさせて下さいましたね。

 相当努力して自分で会社を興され、会長になられた今も実質バリバリと接待をこなされているその方は、活きたお金の使い方をご存じで、人に知識を与えるのもお好きなようでした。そのお客様との出逢いによって、銀座で働く醍醐味をしみじみと感じる事が出来ました。ただ、そこで金銭感覚が変にならないよう気を付けなければなりませんでした。だって、私が足を踏み入れたその場所は、やはり特殊なのですから。

本紙2018年8月7日付(2444号)掲載





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