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小池安雲の色の魅力

第13章

 新年あけましておめでとうございます。
 みなさまにとっての2013年が光り輝く年になりますように! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 お正月はいかがお過ごしでしたか? 私は、たくさんの寺社へ初詣に行きました。氏神さまは勿論、生まれ育った家の近くにあり子供のころから欠かさずに詣でている鶴見の曹洞宗大本山総持寺。さらに、仕事場の近くにある神社と、大田区池上の七福神。どの寺社も、一歩境内に入るとピリッと気が引き締まります。と同時に、ホッと心から安堵するのです。あの安心感はどこから来るのでしょうか? 宗教や建築や立地以外にもさまざまな理由がありそうです。そこで今回は色彩心理の観点から「気の引き締め」と「安心感」について迫ってみます。

 紙と墨の色合わせや、のぼりや寺幕などによく使われている“白”と“黒”。“白”はお浄めの塩の色で、浄化や禊を表します。悔い改めたり、厄を祓ったりするのにふさわしい色です。一方の“黒”は「消す」色。数字に例えると「0(ゼロ)」で、「空(くう)」に通じます。ゼロは、曖昧さがない数字。その潔癖さが「気の引き締め」の正体なのかもしれません。何だか怖い感じもしますが、消す=エゴを滅すことと考えれば、仏の教えに通じます。無我の境地に達することで心の平穏に至る……これも「安心感」のひとつです。

 もう一つ、安心感に大きく貢献していると考えられるのは“赤(朱)”。鳥居や朱印など、赤はたくさんの箇所で用いられていますよね。昔から、赤には魔除け・守護の力があるとされていました。鳥居は神様がいらっしゃる尊い場所の入口ですから、赤で外部の不浄なものを門前払いしているのです。では何故、赤が魔除けと守護の色になったのでしょうか?
赤と言って思い浮かぶのは、炎、血、戦い、愛。力強いイメージのとおり、悪いものをやっつけて血の繫がりや絆を守る色です。お正月には南天がよく飾られますが、「難を転ずる」ため縁起が良いとされるこの赤い実と「打たれ強く困難を乗り切る」赤のメッセージはまさにリンクしています。鳥居の赤に安心感を覚えるのは、私たちを守ってくれる強さをそこに感じるからなのでしょう。

 正しい道へ導き、安心感をも与えてくれる白・黒・赤の組み合わせ。

 寺社がパワースポットと言われる理由には、色にもありそうです。心が乱れがちなときや落ち着きを取り戻したいときには是非、お寺や神社へと足を運んでみてはいかがでしょうか?


 2013年1月17日付・第2244号紙面より


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